モンテッソーリ教育では「敏感期」という言葉をよく耳にしますが、
「敏感期」という用語はもともとは生物学の用語で、
生物の幼少期に現れる特定の対象への強い感受性のことでした。
オランダ人の生物学者であるユーゴ・ド・フリースがある種の蝶の幼虫が、短期間だけ光に強い感受性を持つことを発見しました。
0歳~3歳のちから
光は自然界では太陽ですから、蝶の幼虫は日が昇るとその光に向かって木を登り始め、木のてっぺんまでたどり着きます。
するとそこには芽吹いたばかりの柔らかい新芽があるのです。
新芽なら生まれたばかりの幼虫でも食べることができます。
こうやって何日間が過ぎると、
ある日、突然光に対する感受性はなくなります。
でもその頃には柔らかい葉を食べ続けていたので顎はもう強く発達し、肉厚の葉でも食べられるようになっているのです。
そして感受性は光ではなく別のものへと移って行きます。
つまり「敏感期とは」
- 生物の幼少期に、ある能力を獲得するために
- 環境中の特定の要素に対して
- それをとらえる感受性が特別に敏感になってくる一定期間である。
モンテッソーリは人間の幼少期にもこの敏感期があることを観察を通して確信しました。
しかもその敏感期は様々な事柄を対象にして現れてくるのです。
具体的には以下のような代表的な敏感期が挙げられます
- 無意識的吸収精神(3歳くらいまで)
- 話し言葉の敏感期 (7ヶ月の胎児〜3歳くらい)
- 秩序の敏感期 (6ヶ月〜3歳くらい)
- 小さいものへの敏感期 (2歳〜3歳くらい)
- 運動の敏感期 (0歳〜6歳くらい)
- 感覚の敏感期 (0歳〜6歳くらい)
これらの敏感期は子供から強い感受性として現れます。
その際、強烈なエネルギーもあふれ出します。
モンテッソーリは、この内面から押し上げてくる強い感受性とエネルギーに着目し、これを教育に利用しました。
逆にこの時期を利用しないと、非常な苦労をしたり、いく倍もの無駄な労力を費やしたりしなければならないことになります。
「強い感受性」はもっと簡単に言うと「興味」や「関心」です。
この「興味」や「関心」の対象が子供が生活する場にありさえすれば、自然と子供はそれらに惹きつけられ、それらと関わり、その時に発達させなければならない課題を、自分自身の力で克服していきます。
敏感期とは自己成長発達力・自己教育力の具体的な表れでもあるのです。
この敏感期の存在がわかれば、それに見合った環境作りが、次に私たち大人のしなければならない仕事になります。
マリア・モンテッソーリが
「子供の発達と環境の重要性」に気づいたエピソード