マリア•モンテッソーリが「子供の発達と環境の重要性」に気づいたエピソード

子供の発達と環境の重要性

< 敏感期とは?

女性で初めて医大を卒業したモンテッソーリの卒業論文は「被害妄想に関する臨床的寄与」でした。「被害妄想」と言う名称でお分かりのようにモンテッソーリの専門は精神病。
精神病理に関する研究をしていました。

そしてモンテッソーリは非常に優秀な成績で医学部を卒業したので、卒業後もいろいろな病院から引く手数多でした。
もちろん自分でも診療所を開設しますが、
自分の専門である精神病の患者さんを求めていろいろな病院を渡り歩きました。

ある日、ひとつの精神病院に行った時に、その精神病院に障害を持った子供たちが収容されていることをモンテッソーリは見つけます。
そしてその部屋の中を見渡してみると、
ある子供は大きな声を張り上げながら走り回っている。
ある子供は宙を見つめて口からよだれを垂らしている。
ある子供は壁に頭を打ち付けている。

こういう子供たちが収容されていました。
そして、その子供たちが逃げ出さないように、1人の女性が監視役として見張っています。
モンテッソーリがその子供たちをじーっと見ていると、
監視役の女性がやってきて、
「あなたはあの有名な女医のモンテッソーリ先生ですね、とっても優秀だと伺っています。でもあなたがいくら優秀でも、ここにいる子供たちは救えませんよ。
と言いました。

モンテッソーリはその女性の言い方が、子供たちに対してとても嫌悪感を持った言い方をしているので、
「あなたはなぜこの子たちのことを、そういう言い方をするのですか?」
と尋ねました。
女性はこう答えました。
「この子たちは、食事が運ばれてきてその食事が終わるたびに、落ちたパンくずをあたかも犬猫のように拾い漁って食べるんです。こういう子供たちにはどんな治療をしても救うことができないでしょう。」

モンテッソーリは元来、非常に好奇心の強い女性でしたので、その日は一日、そこで子供たちを観察します。

そして確かに食事が運ばれてきて、その食事が終わるたびに、子供たちの何人もが、床を這いつくばって、パンくずを拾い漁って食べる姿が現れました。

その女性の言う通りの姿が子供たちから現れたのです。

ところがその姿の中に、その女性は感じなかったけれども、モンテッソーリは感じたことがありました。

それはそのパンくずを拾い漁る時だけ、子供たちが一生懸命になるということです。
そしてそれを医師としての科学的な目で分析をしたのです。

「この行動は一体どんな行動だろうか。」

まず「パンくずを探す」。
探すために必要なのは「目」です。
目は、感覚の一つ。感覚には目の他に、
匂いをかぐ「鼻」。
音を聞く「耳」。
味わう「舌」。
そして触れて感じる「皮膚」。

20世紀の最初の頃の話ですから、今のようなきれいな床ではありません。板張りのこげ茶色の床だったでしょう。そこに同じような茶色のパンくずですから、本当に目を皿のようにして一生懸命探さなければなりません。

その中で子供たちは五感を刺激してパンくずを見つける。
そして、
パンくずのところに、にじり寄っていく。
腕を差し伸べる。
指でつまんだ何ミリかの細かなパンくずを、崩さないように、口元に持っていって食べる。

これらは「動き」とか「運動」と言われるものです。
つまりこの子供たちが一生懸命になっていた行動は「感覚を刺激して、動きを伴った活動」であったのです。
そしてモンテッソーリはその子たちが収容されているその部屋を見渡しました。

するとそこには、そういった行動、つまり「感覚を刺激して動きを伴った活動」ができる、たとえば積み木のようなもの、粘土のようなもの、そういうものが一切なかったのです。
モンテッソーリは知り合いに頼んで、「感覚を刺激して動きを伴った活動」ができるようなものを作ってもらい、そこに置きました。

するとどうでしょう。
それまで大きな声を出して走りまわっていた子供が、宙をぽかんと見つめていた子供が、自傷にふけっていた子供たちが、一生懸命そういうものに関わり始める姿が現れました。

そしてそういう活動を繰り返していくうちに、それまで
話しかけても聞こえているのか全く反応のなかった子供たちが、
片時も落ち着きなく動き回っていた子供たちが、

1つの椅子にじっと腰かけて、
1つの作業に一生懸命関わる。
人の話に顔を向ける。

…これまでにはなかった姿が現れてきたのです。

これがモンテッソーリが医師から教育者へと転身をしていくきっかけとなりました。
モンテッソーリ教育の出発点は障害児教育と言われています。

今でも世界中の障害児の施設で取り入れられている、モンテッソーリの発見した「療育」という方法。「医療」と「教育」が合体して生まれた方法です。

これがモンテッソーリの最初の業績になったと言っていいでしょう。
モンテッソーリがその子供たちにした事は何だったのか。
それは子供を見る目に科学を導入した、ということです。

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