モンテッソーリ教育に興味のある人は、生まれたばかりの我が子を、少しでも社会で有利になるようにしたい、優秀になるようにしたい、…
それが我が子の幸せに繋がると考えている方が多いかもしれません。
かく言う私もそうでした。
モンテッソーリ教育はとても真理をついた、本質的な教育だと確信していましたが、赤ちゃん時代は英語のCDを聴かせたりしていました。
モンテッソーリの本に、「赤ちゃんに吸収する精神があるからと言って、英語のCDを聴かせるのはいかがなものか。いったい何のために生まれてきたのでしょう?」
と書いてありましたが、
私は「覚えられるものなら覚えた方がよくない?」と思っていました。(結果を言うと効果は全くありませんでした。)
しかし、モンテッソーリ幼稚園を卒園する頃にある気づきがありました。
以下は卒園する時に在園のお母様たちにお話したメッセージです。
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娘は2500gで生まれて、元々小さく、9ヶ月になってもズリバイのみでお座りもハイハイもしなかったので、とても心配していました。
また6ヶ月-9ヶ月の間は保育園に入れたのですが、発達が遅くて焦る中、声をかけてくれるお母様もなく、保護者会の先輩ママの声では、自信たっぷりのコメントを聞いて息苦しさを感じ、 保育園をやめて、2歳半になるのを待って子どもの家に入りました。最初の1、2年は不安と焦りでいっぱいでしたが、お母様がたと話すたびに「そんなの全然心配しなくて大丈夫よ」と言っていただけてとても安心しました。本当に感謝しています。
これまでの子供への働きかけを通して、
私が良いと思ったこと、結果が出ないと思った事、時間が経てば解決した問題などをお話ししたいと思います。
まず、オススメしたいことがあります。
やりたい事を期限付きで紙に書き出すと良いと本で読んで、娘と二人で試してみました。
ルールは「期限を決める」、「どうやったらできるかは考えない」です。
私は4月までに運転免許を取るなど
娘は2月までに奇石博物館に行く、
5月までに宝石を売る、
今年中に川でオパールの原石をとる
と紙に書きました。
そのうち、
高校生までにカナダのイエローナイフでオーロラを見る
マレーシアでコノハムシを見る
大学生までに2メートルのピラルクーを釣る
と増えていき、
数日後、お気に入りの石の本を読みながら、「ニュージーランドのモエラキ!」と叫んで、
あーニュージーランドなら釣りオタクの友達がいるわと
連絡したら案内してくれることになり、
まだ実現していないにもかかわらず、なんだか楽しくなってきて、
やりたいことがはっきりするだけで、どこからかエネルギーが湧いて、人生が楽しくなると気づきました。
同時に子供がやりたいことを応援するのは親も楽しいと感じました。
ぜひやってみることをオススメします。
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効果があったと感じる働きかけ
赤ちゃんの頃からしていた読み聞かせは効いたようで、本が大好きになりました。
今では私が読もうとしても「自分で読むからいい」とか「もう読んだ」と言われます。
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効果が無かったと感じる働きかけ
娘は9ヶ月の時点でお座りとハイハイをしなかったので、
運動面の発達を促進させるというのは、赤ちゃんの頃から私の中で重要な問題になっていました。
走る機会や歩く機会を増やそうと結構努力したのですが、運動に対する親の働きかけは
公園で自発的に走り回る子の運動量には敵わないようでした。
外遊びをさせようと公園にきてもお友達が走り回る中、ひとり地面にベッタリと座り込んで土や草をいじる姿は親としてはもどかしい気持ちでいっぱいでした。
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時間が経つにつれて解決した問題
少食、拒食、掃除機やミキサーの音が苦手、お友達と遊びたがらない、
洗顔、トイレ、お風呂、着替えなどを嫌がる
という問題は年齢が上がるにつれてほとんど問題ではなくなりました。
これは、子供の家の生活が支えてくれた部分が大きいと、感謝しています。
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4年間の子供の家での私の心境の変化についてお話ししますと、
プレ・年少の頃は何かと発達を心配し、
年中の頃は少し落ち着いていましたが、年長の中盤になってまた「この子は大丈夫なんだろうか」という不安が持ち上がり、
働きかけがうまくいかないと悩んで、
「願望達成」という言葉でネット検索したことがありました。
そこで見つけた言葉がとても腑に落ちました。
「願望達成がうまくいかない」と嘆く人は、そもそも願望の立て方が間違っている。
え?願望に間違いとかあるの??と思って読むと、
足が遅いから早くなりたいという願望は、
足が遅い自分を否定しているので、足りない自分、自己否定から始まる願望は叶いにくいのだそうです。
才能や健康、お金、人間関係などすべて満たされた状態と仮定して、自分が何をしたいかという願望が達成されやすいのだそうです。
これを知ったら、確かに、小さな子供の願望はお金や時間や能力を考慮に入れていないので、願望の立て方が正しいのだと思いました。
自分は十分に足りていると知っているわけです。
そして、釣りをしたり鉱物を採りたいというのが娘の願望なら、
足が早くなるとか、リズム感が良くなる、歌を歌うなどは彼女にとってまったく必要のないことかもしれないと気がつきました。
むしろ、それを足りない事として子供に伝えてしまうのは、親の観念が子供の人生の本来の目的を見失わせ、人生を無意味なことに浪費させてしまう事になりかねません。
本当に百害あって一理なしと言えるでしょう。
(実際、彼女自身も、今のままで自分は十分足が速いと思っているようです。)
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皆さんもいろいろ心配な事があるかと思いますが、うまくいかない問題は一旦手放して、苦手な部分が気にならなくなるくらい、好きなことをやる、というのは、幸せに生きるための、ひとつの解決策かもしれません。
以上です。
聞いてくださってありがとうございました。