7冊目:感覚教育(8日目)

第1章 『感覚教育』とは

1.感覚教育の意義

 子供には、自己成長発達力(自己開発力、自己教育力も動議)が生まれながらにして備わり、その力によって自らを成長発達させていきます。そしてその力の具体的な表れが「敏感期」です。様々な敏感肌にその敏感肌に対応する環境と主体的に関わり、自立の方向へ自らの力で育っていくのが幼児期です。この自己成長を援助するのがモンテッソーリ教育の基本的な考え方です。
 『日常生活の練習』は、「運動の敏感期」を背景とした活動分野でした。『感覚教育』は、「感覚の敏感期」に対応します。感覚の敏感期にいる子供が自ら成長発達できるように、感覚胸部で構成された環境を整えます。子供がその環境と触れ合うことによって「集中現象」を起こし、「正常化」していくと言うサイクルをたどります。
 私たちは、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚とい五感の働きによって、身の回りの現象や事物を認識します。そしてそれに基づいて、記憶、想像、思考という知性の働きが展開します。したがって、感覚は人間の全ての知的活動の基礎となります。そのために『感覚教育』は、教育学上とても重要な意義を持っています。このことは、『感覚教育』がモンテッソーリ以前からも重要視され、子供の教育の中の中心的テーマであったことからも伺い知ることができます。

脳が発達する仕組み
運動のメカニズム

 上の図は「運動のメカニズム」を表したものですが、これはまた「人間の情報処理システム」をも表しています。
 外部から様々な情報を感覚器官が受け取ると、神経がそれを脳に伝達します。脳に伝えられた情報は統合処理されます。その結果、命令が発せられて、運動機関である筋肉(随意筋)を収縮、伸展させ、様々な動きを引き起こします。
 つまり人間は、感覚器官で受け取った外界の情報を脳で処理し、運動として表出して学ぶということです。大人期にあたる人間は、運動を伴わなくても脳の段階で抽象的に理解することが可能ですが、子供期にある幼児には運動は欠かせません。その運動の完成が『日常生活の練習』の目的です。
 同時に情報処理の出発点である感覚器官が正常に機能しなくてはこのシステムそのものが成立しません。そこでこの両極にある感覚と運動を万全のものにするための敏感期が、「感覚の敏感期」と「運動の敏感期」として、人間づくりの基盤となっている幼児期に強く出現するのです。
 ところで、この情報システムは生まれつきある程度備わっていますが (各感覚期間は非常に早い段階から起動し始めます。表1参照) 年齢と共に発達します。乳児の感覚は、まず触覚、味覚の近感覚(身近なものを認知する感覚)が発達し、やがて視覚、聴覚の遠感覚(遠い物を認知する感覚)が発達していきます。
 脳科学では、赤ちゃんが生まれながらに、大人と同じ数の脳細胞がすでに、非常に不完全なものながら、ネットワークを作っているといわれています。感覚器官からいろいろな刺激が赤ちゃんの脳に入ってくると、その刺激を利用して、赤ちゃんの脳はネットワーク機能の機能の完全な形に改良していき、ほぼ6歳頃までには、このネットワークを完成させるといわれます。
 モンテッソーリの『感覚教育』は感覚教具を中心とする環境を整え、感覚のネットワークが完成しつつある成長段階(感覚の敏感)にある子供が、感覚器官を洗練するのを援助し、さらに知性を発展させるのを助けることを目指しています。

表1 感覚器官の発達

  • 触覚
    • 皮膚は妊娠7〜8週で完成する。
    • 胎児は羊水の中で動き、手はへその緒の近くにあり、常時刺激を受けている。
  • 嗅覚
    • 妊娠八週目までには機能が始まる。
    • 母親の食べた物の香りが羊水に溶け嗅覚的な記憶になる。→離乳時につながる。
  • 味覚
    • 妊娠12週までに機能し始める。
    • 甘味や苦味が羊水に浸み込むことによって、吸ったり、しかめ面をしたりする。
  • 聴覚
    • 妊娠2〜5ヶ月の間に構造ができ、機能し始める。24時間、母体の心臓と呼吸の音の刺激を受けている。
  • 視覚
    • 妊娠2週目ごろからでき始め、出生児には完成している。最初は明暗が主で、色がよく見えない。生後3ヶ月位で、どの距離のものにもほぼ焦点が合うようになる。視覚は一歳までにほぼ完成するが、視覚の精密度は、生後6ヶ月の間にめざましく発達し、その後もっとゆっくりと5歳まで続く。

2. 感覚と感覚器官

『感覚器教育』では「感覚」や「感覚器官」という言葉がよく使われますが、それらは以下のようにまとめることができます。

感覚(五感)感覚器官

  • 視覚…目
  • 触覚…手・皮膚
  • 聴覚…耳
  • 味覚…口
  • 嗅覚…鼻
  • 直接需要期=触覚・味覚(近感覚)
  • 間接受容器=視覚・聴覚・嗅覚(遠感覚)

3.『感覚教育』の背景にある子供の発達

 感覚教具と関わって集中現象を起こす子供の背景には、次の3つの発達側面があることがわかります。

  • 感覚の敏感期(感覚器官の洗練)
  • 吸収する精神(無意識)から意識への変化
  • 知性の萌芽

(1) 感覚の敏感期(感覚器官の洗練)

普段の生活で子供をよく観察すると、次のような行動を見ることができます。

  • 数少ない四葉のクローバーを簡単に見つける。
  • 車のエンジン音を聞いただけで誰のお迎えかわかる。
  • ブロック塀を触りながら歩く。
  • 銘柄による牛乳の味の違いがはっきりとわかる。
  • お母さんの香水の香りを嗅ぎ分ける。

 このような行動は、その子供の感覚の敏感期の現れです。
 生まれたての子供の感覚器官はまだまだ未熟ですが、脳細胞のネットワークの改良が進むと、2歳〜3歳ごろには、近感覚も遠感覚も確実に発達を遂げていきます。しかしこの年齢では、正確に外界の情報を取り入れられる感覚器官にはなっていません。そのために子供は、上に記したような行動を通して、無意識にではあっても、外界から正確な情報を捉えることのできる、より精巧な感覚器官を形成しようとしているのだと考えられます。そのような時期に、子供が感覚器官を洗練するのを援助するのが『感覚教育』です。

*敏感期
 オランダの生物学者、ド・フリースによって提唱された概念です。どんな生物も幼少期に、その生物が成長発達するために、外界の特定のものに特に敏感になる一定期間があるとされます。
 彼は、この時期を「敏感期」と名付けました。モンテッソーリは、子供を観察することによって、この概念が人間にも適用できることを見出し、自分の教育理論に取り入れました。感覚の敏感期はこの敏感期の1つです。

(2)吸収する精神(無意識)から意識への変化

特に0歳〜3歳の子供には、お母さんやお父さんの微妙な口癖や動作を真似る減少が見られます。これは、子供が目で見た動きや、耳で聞いた声音を再現しているのです。この時期の子供が、無意識にではありますが、外界のさまざまな出来事を吸収していることの現れです。
 この意識せずに吸収する力のことを、モンテッソーリは「吸収する精神」と呼びました。この時期に子供は、外界の様々な印象を吸収して蓄積していきます。この時期も、広義の感覚の敏感キーです。しかし、この時期に吸収された感覚的印象は、混沌とした状態で蓄積されます。
 その後、3歳〜6歳の段階になると、子供は、それまで無意識的に吸収し、ため込んできたものを意識的に整理しようとします。一般的には概念形成をするともいわれます。感覚教具は、この概念の形成を援助します。

(3)知性の萌芽

 1歳半、あるいは2歳ごろから知性が働き始めます。子供をよく観察すると次のような行動を見ることができます。

  • 同じ絵柄のコップを対にする。
  • 石を拾って大きさの順に並べる。
  • 色のついた紐通しを色別に通す。

 このような一連の行動は、子供の中で知性が働きだしたことを意味しています。ここでいう知性とは「比較する」ことです。子供は混沌とした状態を整理していくために、比較から始めます。複数のものを比較して、対にしたり、段階付けたり、分類したりします。ここに知性の芽生えが見られます。そして子供は、この知性の萌芽を伸ばすことによって、知性を備えた人間に成長発達していくのです。
 知性を働かせて外界に関わり、「吸収する精神」で自分の中に漠然とため込んだものを整理していきます。そして、最終的には、一つ一つの具体的なものをまとめる上位の概念(カテゴリー)を形成・獲得します。
 しかしながら、モンテッソーリ教具を使って『感覚教育』をしないと知性が働き出さない、概念として整理することができないわけではありません。魅力的な教具を用いた活動をたくさんすることによって、子供の知性の発達がよりよく援助されるのです。

4.『感覚教育』の目的

 これまで述べてきた子供の発達を踏まえると、『感覚教育』の直接目的は以下のようになります。

直接目的

  1. 感覚器官の洗練
    • 意識が芽生えてきた子供が、感覚器官をよりよく洗練できるように援助すること。
  2. 感覚体験の整理(抽象的概念獲得の促進)
    • 「吸収する精神」で吸収してため込んだ、様々な感覚的体験をよりよく整理し、最終的には概念レベルまで高められるように援助すること(大きいー小さい、高いー低いなどの概念、あるいは色の概念などを形成すること)。
  3. ものを考える方法の獲得
    • 知性の芽生えの時期に、ものを比較することから始めて、法則的な物の見方、考え方や観察力を獲得するのを援助すること。

5. 感覚教具

(1)感覚教具の種類

当教師養成センターにおける「3歳〜6歳コース」ではP.15の表にある21の教具を使用しています。「0歳〜3歳コース」では、3歳前後の子供が理解できる内容や操作に絞って感覚教具の一部とその操作方法を紹介します。

(2)感覚教具の特性

別表の21の感覚教具には、以下のような共通の特性があります。

  1. 性質の孤立化がなされている(子供に識別させたい、1つの性質だけが強調されていて、その一点だけに子供の注意力が注がれるように配慮されている)。
  2. 誤りの訂正が含まれているものがあること。
  3. 美しく作られていること(色、形、材質、均整など)。
  4. 子供に合うサイズで作られていること。
  5. 数量に制限があること(1クラスに1セットが原則)。

(3)感覚教具の系統性

 21種類の感覚境遇は、子供が必ずこの順番通りに関わらなければならないという固定化されたものではありません。
 しかし、一般的な目安としては、操作の簡単なもの、教具同士で関連性のあるもの、性質の孤立化が明確なもの、誤りの訂正が含まれているものから始めて、操作の複雑なもの、性質の孤立化が不明確なもの、誤りの訂正が子供自身の感覚的判断に委ねられるものへと進むのが系統性となります。
 一般的には、「円柱さし」から提示していき、「円柱さし」と関連のある「ピンクタワー」「茶色の階段」「長さの棒」や「色つき円柱」へとつながっていきます。

6. 感覚教具の操作方法

(1)基本的操作方法

 感覚境遇は、単に感覚器官を刺激するだけでなく、子供の知性を目覚めさせ、『感覚教育』の目的の1つである「ものを考える方法の獲得」のために操作方法が存在します。この操作方法があることが、子供が自由気ままに扱うことのできる「おもちゃ」と「教具」の間に一線を画する要素になります。
 基本的操作方法は次の3つがあります。

  • ベアリング (対にすること=P)
  • グレーディング(段階付けること=G)
  • ソーティング (分類すること=S)

 感覚教具それぞれに操作が3つとも入っているわけではありません。Pだけ、Gだけ、あるいはPとGの両方というように、教具によって異なります。

  1. P(Pairling) = 2つのものを比較して、寸法、粗さ、色、強さ、形、匂い、熱さ、甘さ、重さなど、1つの性質を取り出し、等しいものを対にする(マッチングともいう)
  2. G(Grading) = 3つ以上のものを比較して、寸法、粗さ、色、強さ、形、匂い、熱さ、重さなど、1つの性質を取り出し、大小、強弱などの段階をつけること
  3. S(Sorting) = 3つ以上のものの中から、寸法、色、形、重さなど、1つの性質を取り出して比較し、完全に同じもの同士に分類(種別)すること。

(2)名称練習

 感覚教具を用いて「名称練習」と言う活動を行うことができます。
 名称練習とは、知覚した教具の性質に名称を与え、言葉に置き換えるものです。しかし『感覚教育』ではまず、子供に感覚的な体験を与える事を先行させます。
 例えば、子供が「茶色の階段」での活動を十分に行い、微妙な太さの違いを視覚と筋肉感覚によって知覚し、自分の中に蓄えているのなら、「太い」「細い」という名称がスムーズに入るのです。そのため、基本提示の直後に名称練習を行うのは誤りです。
 しかし、基本提示の活動を繰り返し行った子供には、名称練習を行って、概念化(物事を言葉で理解すること)を促進し、具体から抽象へ導きます。
 名称練習は、正式には「セガンの3段階の名称練習」といい、フランス人医師エドワード・セガンが創案しました。3段階は、以下のように構成されています。

  • 第1段階「これは〇〇です」ものの知覚と名称を結びつける(記名)
  • 第2段階「〇〇はどれですか」名称とものの結びつきの確認(保持)
  • 第3段階「これは何ですか」ものに対応する名称の記憶と再生(再生)

*本テキストでは感覚教育の一部として取り上げていますが、名称練習は本来、「感覚教具による名称練習」として『言語教育』の一環に行位置づけられます。

(3)名称練習の3段階の意味

 3段階の練習名称練習は、最近の認知科学によって、その意義と効果が検証されています。
 脳科学の研究によれば、記憶は、「短期記憶→記憶のリハーサル→長期記憶」の過程を経ると考えられています。
 つまり、感覚器官から入ってきた外界の情報は脳に伝達され、初めに記憶の中の短期記憶に入ります。この短期記憶の容量には限界があるため、新しい情報が入ると古い情報は消えていってしまいます。消えないようにするには記憶のリハーサル(普通は、口で何度も唱えたり、紙に何度も書いたりします)をする必要があります。ある程度、リハーサルが進むと、記憶は長期記憶の中に蓄えられ、より安定したものになります。
 モンテッソーリ教育の名称練習は、この記憶の過程を踏ませ、よりスムーズに名称を定着させるものです。それぞれ、第1段階 = 短期記憶の段階、第2段階 = 記憶のリハーサルの段階、第3段階 = 長期記憶の段階のように対応しています。

7. 他の領域との関連

 『感覚教育』は、感覚の敏感期に対応した活動領域であるのはもちろんのことですが、同時にその時期だけで独立した、閉鎖的な領域ではありません。モンテッソーリ教育の原理の1つに「鉤(かぎ・フック)の手の原理」があります。これは領域や活動の関連性のことであり、前段階からのつながりや、これから先に子供が出会う活動へのつながりや準備が、今行っている活動の中に存在していると言う原理です。
 『感覚教育』がどのように他の領域と関連しているか考察するときに、まず知らなければならない点は「直接体験の大切さ」です。

(1)直接体験の大切さ

 子供の精神発達は、具体から抽象へと進んでいきます。この具体から抽象への橋渡しをするのが『感覚教育』です。その関係を表にまとめると、次ページのようになります。大切な事は、『感覚教育』を行う前の段階での直接体験です。この直接体験を通して、「吸収する精神」で豊かな感覚体験をため込んでいないと、抽象化することができません。
 次に大切な事は、『感覚教育』で得た能力を直接体験の場にフィードバックし、さらに深まった感覚体験をさせることです。そして、この具体・抽象のサイクルを何回も繰り返しつつ、子供の能力を螺旋状に高めていくことです。そのことことによって子供に、推察力や誤りを発見する力を身に付けられるようにすることが大切です。

感覚教具

  • 具体(無意識)
    • 直接体験(原体験)
      • 日本の生活、自然を通しての様々な体験
        • 例 
          • 水遊び
          • 泥だんご作り

↓ 具体化された抽象ののシステム

  • 分析・統合のシステム(性質の孤立化を含む)
  • 教具に含まれる微妙な差を比較する操作方法(P・G・S)
  • 記憶練習
  • 名称練習
  • 抽象(意識)
    • 外界からの情報を正確にとらえる感覚器官の形成
    • 直接体験を通して吸収する精神が備えたものを整理する
    • 知性の萌芽を育てる「世界を解く鍵」を与える

  • 体験を秩序建てて見る目
  • 考える力
  • 法則的なものの見方
  • 観察力
  • 問題解決力
  • 創造力

↓ (上記を通って具体へ戻る)

(2)感覚教育を充実させるための配慮

 感覚教具を楽しむためには、ある程度、感覚教具を操作するための手先の巧緻性目と手の供応動作などの基本的な運動が養われている必要があります。また、感覚教具は、原則としてクラスに1セット準備することになります。そのために、友達が使っていたら、待たなければなりません。また、最後まで取り組む意志力など、ある程度自分をコントロールする力が養われている必要があります。これらの力を、それまでの活動の中である程度養ってから取り組むと、感覚教具の面白さを感じて楽しむことができるでしょう。

(3)『感覚教育』から引き継がれる 3歳以降の知的教育分野

 3歳以降のモンテッソーリ教育を構成する5分野の中で、知的教育分野と呼ばれるのは、『言語教育』『算数教育』『文化教育』の3分野です。『感覚教育』はこれら知的教育分野の基盤にもなっています。モンテッソーリは「『感覚教育』はすべての教育の基礎である」と述べています。
 感覚教具の操作として位置づけられているペアリング、グレーディング、ソーティングは子供の知性を目覚めさせ、その萌芽の成長を促します。そして、その知性伸びていった先が言葉に関することに触れるとき、そこは『言語教育』の場になります。伸びて行った知性が数のことに触れる時、その場は『算数教育』になります。言葉や数以外の世界の国々の事、宇宙の事、動物や植物のことに知性がつながっていけば、それは『文化教育』になります。このように感覚教育はそれ以降の知的教育分野とをつなげる働きをすることによって、「感覚に訴えて、動きを伴った活動」という幼児期の学びの方法を可能にしているのです。

感覚教具の種類

視覚 (目)

    • 円柱さし
      • 操作方法:P G
        • 名称練習:
          • 高い 低い
          • 太い 細い
          • 大きい 小さい
          • 低くて太い 高くて細い
    • ピンクタワー
      • 操作方法:G
      • 名称練習:大きい 小さい
    • 茶色の階段
      • 操作方法:G
      • 名称練習:太い 細い
    • 長さの棒
      • 操作方法:P(G)
      • 名称練習:長い 短い
    • 色付き円柱
      • 操作方法:P(G)
      • 名称練習:
        • 高い 低い
          太い 細い
          大きい 小さい
          低くて太い 高くて細い
          (円柱さしと同じ)
    • 色板 第1箱 第2箱 第3箱
      • 操作方法:P G
      • 名称練習:
        • 色の名称
          くらい 明るい
    • 幾何たんす
      • 操作方法:P 
      • 名称練習:図形の名称
    • 幾何学立体
      • 操作方法:P
      • 名称練習:立体の名称
    • 構成三角形
      • 操作方法:P
    • 二公式
      • 操作方法:P
    • 三公式
      • 操作方法:P

触覚(手・皮膚)

  • 触覚版
    • 操作方法:P G
    • 名称練習:すべすべ ざらざら
  • 温覚筒
    • 操作方法:P G
    • 名称練習:暑い 冷たい
  • 温覚板
    • 操作方法:P
  • 重量板
    • 操作方法:S
      名称練習:重い 軽い
  • 圧覚筒
    • 操作方法:P G
      名称練習:強い 弱い
  • 実態認識袋
    • 操作方法:P G  S

聴覚(耳)

  • 雑音筒
    • 操作方法:P G
      名称練習:強い 弱い
  • 音感ベル
    • 操作方法:P G
      名称練習:高い 低い

味覚(舌)

  • 味覚びん
    • 操作方法:P
      名称練習:甘い 塩辛い 酸っぱい 苦い
  • 嗅覚筒
    • 操作方法:P

8.感覚教具と出会う以前の『感覚教育』

 感覚器官はすでに胎児の段階から働き始めています。感覚刺激に反応する胎児の姿を見ると、胎児の段階からすでに「感覚の敏感期」にあると言ってよいでしょう。そして、感覚の敏感期は乳児期から幼児期全般にわたって現れ続けます。その感覚の敏感期には2段階があります。
 吸収する精神の時期(胎児期〜2歳半前後)の感覚の敏感期と、意識の芽生えの時期(2歳半前後〜6歳)の感覚の敏感期の2段階です。吸収する精神の時期の感覚の敏感期は「感覚的印象の溜め込み」のために現れます。それに対して、意識の芽生えの時期の感覚の敏感期は「感覚的印象の整理、秩序化」のために現れます。この意識の芽生えの時期が感覚教具の適応年齢になります。
 感覚教具との出会いが『感覚教育』の出発点ではありません。教具と出会う前の段階から『感覚教育』が始まります。この時の視点と活動例を紹介しましょう。

(図)

0歳時の感覚教育

 0歳時は完全に無意識の段階であり、実生活の中で感覚刺激を吸収します。
 大人からの言葉がけと言う聴覚の刺激、授乳という味覚の刺激、抱くことによる触覚や嗅覚の刺激、自然光による視覚の刺激など様々な感覚的刺激を豊富に与える事は立派な『感覚教育』になります。
 0歳代、しかも新生児の段階から意図的に『感覚教育』の一環として位置づけられるのは視覚に関する教育です。前述のように全ての感覚器官は胎児の段階で出来上がって働き始めます。しかし、視覚だけは他の感覚器官よりも遅れて、最後に発達が急激になされます。そのためにも新生児からの視覚の発達を促す環境の設定は欠かせません。また、資格の発達とともに見たものに触れて感じる触覚に関しても意図的な配慮が必要になります。

視覚体験と環境の整え方

 新生児は物を見るときに20cm〜30cmの距離にしか焦点が当てられません。また、目のまわりの筋肉(括約筋)が未発達で一点をじっと見つめ続けることはできません。色は赤と緑がぼんやり見えるようです。コントラストはあまり知覚できないようです。明るい色、白黒のデザイン、はっきりした笑顔、ゆっくり動くものが見えるようです。ですから赤ちゃんに何か視覚的な刺激を与えようと思うのならば、見える距離に近づけてあげましょう。
 また誕生前のお母さんの子宮の中が薄暗がりでしたから、強い日差しや蛍光灯の光は避けた方が良いでしょう。生後2ヶ月を過ぎた頃から大人と同じ生活環境でも大丈夫になってきます。この2ヶ月は体内環境から人間環境への移行の時期です。その以降は急激にではなく、穏やかになされなければなりません。

モビール

 子供の資格の発達を促す環境の1つとしてもビールがあります。モビールが環境の中にあると良いでしょう。モビールは紐や糸で吊るされ、軽く、自然な風で動き回るように作られています。もちろん赤ちゃんの焦点が合うように、低い位置に吊るしましょう。
 モビールは赤ちゃんの発達段階に合っているだけではなく、手作りで準備することのできるものです。子供にとってはなるべくシンプルな物の方が良いでしょう。

(絵)ムナリモビール ゴッビモビール 

 このモビールには近くの発達段階に応じた順番(系統性)があります。
 まずは白と黒のコントラストでできているもの。考案したイタリア人の名前をとって、ムナリ・モビールと呼ばれます。誕生後2ヶ月ほどで、眼球を固定、つまり一点を見続けることができるようになります。
 この段階になると明暗のはっきりしたものから色の微妙な変化に気づくようなモビールが必要になってきます。
 その後、子供が見るだけでなくて手で触れ始めるようになると、多少引っ張っても取れないような素材のモビールがあると良いでしょう。

触覚体験と環境の捉え方

 触覚は肌によって感じられますが、中でも重要な器官は手です。ですから手を解放して、自由にすることが大切なポイントとなります。
 胎児期には、自由に手で口の周りを触っているのに、そういった行動が顔をひっかくことを防止するために手袋をしたり、両手を衣服で包んだりして妨げてしまうような習慣が多くの国で現在でも見られます。胎児の様子を知れば知るほど残念なことです。顔に手が触れて、傷つかないように爪を切る配慮をすれば良いだけです。そして、それが大人の役割です。
 赤ちゃんが自分から、つまり自発的に何かに触れて、刺激を受けることももちろん大切なことですが、同時に触れられることも大変意味のあることです。皮膚に触れるものは全て触覚の刺激になりますから、赤ちゃんの着る服も触覚を刺激します。服は自然素材のもの、シルクもしくは綿が適切です。さなぎのように包んでしまうのではなく、手足が自由に動かせるようなものでなければいけません。おむつは使い捨ての物よりは、布おむつが良いでしょう。使い捨てはお母さんには便利ですが、赤ちゃんにとっては不快感がなく、排泄の発達を遅らせる一因となります。
 赤ちゃんに触れるときは、優しくゆっくりをモットーにしましょう。優しく触ってもらうことで赤ちゃんは愛されている、受容されているという実感を持ち、愛着と信頼関係が築かれていきます。

 触覚体験は手で何かを握ることから始まります。「手は外に現れた脳」といわれるように、触覚体験は脳の発達にも大きく貢献します。
 新生児は自分で物を握ることができません。しかし、周りの大人が赤ちゃんの体のサイズに合ったものを握らせると握ります。これを「反射的な握り」とか、「反射的把握」といいます。生後2、3カ月位になると自分の意思で何かを握ろうとし始めます。これは「不随運動」(自分の意思とは無関係の行動)から「随意運動」(自分の意思による行動)への移行であり、成長の方向でもある「自立」はこの随意運動ができるようになっていくことです。

握る物を揃える時の視点

 握るものはどんなものでも良いわけではありません。赤ちゃんの手のサイズであること、危険がない事は子供の発達を援助する環境を整備する際の大原則です。プラス、個々の活動のための視点が加わります。「握る」活動のための視点には以下の要素が加わってきます。

  1. 自然の素材のものを準備しましょう。舐めると毒素が出てくる危険性のある科学的な素材はいけません。
  2. 握ったときに温度差を感じることができるように、同じ形状のものでも木製、金属製、布製のように異なった素材のものを準備しましょう。
  3. 球体のような形、柔らかくて尖っている突起状の形など立体感覚を刺激する要素を盛り込んでいるものを準備しましょう。
  4. 握ったり、握ったものを振ったりすると音が出て、触覚と同時に聴覚を刺激するようなものも準備しましょう。「なるこ」や「ガラガラ」は代表的な物です。

(絵)

単に「握る」から操作へ

 生後2ヶ月位からお座りができるようになるまでの5、6カ月くらいまでの間に様々な物を握ることにより、触感覚が大きく発達していきます。子供への与え方は、あまり多く与えすぎないことです。子供をよく観察し、興味がなくなった物はしまい、新しいものを与えるようにします。
 お座りができるようになると、いよいよ握ったものを落としたり、はめたり、つまんだり、引っ張ったりといった操作ができるようになり、子供の知性がめざましく伸びてきます。こ
 こで紹介されているものは基本的には運動の獲得のための粗大運動や微細運動の活動に位置づけられるものです。しかし、これらは同時に感覚を刺激する『感覚教育』においても位置づけることができるということです。感覚刺激と運動の獲得は切り離して考えることはできません。
 以下の数々の教材は乳幼児用に開発されたもので、基本的には運動の獲得を目的としていますが、同時に色、形、大きさ、手触りといった感覚を刺激する要素が意図的に盛り込まれていることがわかります。広義においては感覚教具としても位置づけることができるでしょう。

1歳児の感覚教育

感覚教具での活動につなげていく準備として、人工的で意図的な感覚刺激を与えることができるものを準備します。徐々に操作も含めることもできます。

視覚を刺激する活動

  1. 触って感触の異なる様々な道具
    • 日常の活動で使うブラシや台布巾などの道具に触覚を刺激する要素を組み込むことによって、触り心地の違いに気づくようにしていきます。
  2. すべすべ (つるつる)とざらざらのものを分類する
    • 子供の身の回りにあるもので、触ってつるつるの感触のものとざらざらの感触の物を同じ数ずつ準備し、かごのような容器に分類して入れていきます。分類していくことは操作としてソーティングになります。
  3. 絶対認識袋の前段階の活動
    • 貝・羽毛・とうもろこしの粒のように感触の違いがはっきりとした、自然な物を準備します。
      • 透明の瓶に入れ、見えるようにします。
      • よく振ってから袋に入れ、見えないようにします。
      • どのビンに入っているものか当てます。この時に透明のビンに入っているものは見えるようにしておきます。名称がわかる子どもは名称を言うこともできます。

嗅覚を刺激する活動

  1. 残り香のかぎわけ
    • 蓋つきの食材の空瓶(洋がらし、ケチャップ、にんにく、パセリ、セロリ、生姜、みょうが、にら、醤油、味噌、酢などの食材の残り香のある空瓶)を準備します。
      一瓶ずつ蓋を開けて、食材の残り香の違いを感じていきます。
  2. 中身の見える嗅覚瓶
    • 透明な容器に香りのするもので、子供が見てわかるものを入れておきます。子供は中身を見ながら、香りをかぐことができます。
  3. 中身の見える嗅覚筒
    • 開閉式の蓋つきの塩やこしょうの振り出し器に、コーヒー豆に対して挽いたコーヒー、シナモンスティックに対して挽いたシナモンのように原材料とそれを加工したものを入れて見えるようにしておきます。同じ香りのものをペアリングしていきますが、原材料と加工したものでは同じ香りでもその強さが多少違います。

聴覚を刺激する活動

  1. 中身の見える雑音筒
    • 透明の容器、ハーブケースやフィルムケースなどに米、豆、小石、砂、ごま、鳥餌などを入れ、中身を見ながら振って音を出し、その違いを感じます。2本ずつ同じ筒を準備し、ペアリングの活動を行うこともできます。
  2. 音の違いを経験する
    • 容器に入れる量を変えることによって、音が異なることを感じることができます。また、同じものを同じだけ入れても容器の大きさによって音が異なることがわかります。
       同じ形状 (形) のものでも、材質が違うと音が異なってきます。
    • 入れるものの量によって音は異なる
    • 入れるものは同じでも容器の大きさによって音は異なる
    • 同じ形状のものでも材質が違うと音が異なる

視覚を刺激する活動

  1. 具体物同士のペアリング
    • 実物や模型、ミニチュアといったなるべく具体的なものを2個ずつ準備し、ペアリングしていきます。ものは類概念につなげていくために同じ種類で集めるようにします。
  2. キューブやシンメトリーのペアリング
    1. 立方体の6面がそれぞれ異なる絵柄になっていて、同じ絵柄が出るようにペアリングしていきます。また2個の立方体の各面が左右対象になるように描かれていて、ペアリングすることによってひとつの絵柄が完成するシンメトリーになっているものも考えられます。
  3. 色の分類 (ソーティング)
    • 赤、青、黄の三原色の容器と、三原色のいずれかの色のついた木製やプラスチック製のものを各色3〜5個ずつを1つのカゴの中に入れて準備し、色ごとに分類していきます。分類はまず色、次に形、大きさという順序で難易度を増します。
  4. 写真や絵カードでのペアリングやソーティング
    • 写真や絵カードで同じものを2枚準備すればペアリングの活動に、3枚以上準備して分類していけばソーティングの活動になります。
    • 同じカードを2枚ずつ準備したペアリングの活動
    • 同じカード4枚ずつ準備したソーティングの活動

以上の1歳児の活動の紹介の中には、感覚教具の操作であるペアリングやソーティングが含まれているものもありました。1歳代から知性は十分に覚醒し始めているということです。また感覚教具は感覚器官を1つずつ別個に刺激するという特性がありますが、この段階では「見える」という要素が子供の活動への動機付けになりますので、触覚を刺激する活動にしても聴覚を刺激する活動にしても透明の容器を準備し、中が見えるようにしておくことがポイントとなります。

第2章 感覚教具の提示の基本例

提示の説明の構成

このテキストでは、定時の説明が次のような順序でされています。

  1. 教具の紹介
    • 使用する教具及び補助境遇を挙げ、説明しています(イラストに色鉛筆で彩色しておくと、わかりやすくなります)。
  2. 直接目的
    • ここでは、その教具を使うことによって、子供に獲得させる感覚刺激や概念です。
  3. 関節目的
    • 直接目的のほかに、子供に獲得させたい運動や知識です。
  4. 提示
    • その教具の提示法を、準大手説明しています。このコースでは、ここに記されている方法を提示の基本とします。まず、この基本をマスターした上で、個々の子供に応じて工夫してください。
  5. 誤りの訂正
    • その教具を使った活動において、誤りとみなされる事項をあげています。誤りがあったかどうかが、他の感覚教具によってチェックできる場合には、その感覚や胸部に備わっている誤りの訂正機能も記しています。
  6. 名称練習の用語
    • その教具を使って獲得できる名称です。
  7. 備考
    • その各活動で、特に注意すること、または別の提示法を記しています。

円柱さし

  • 教具の紹介
    • 木製のブロック(角中)に、つまみのついた10本の円柱が納まっている。A、B、C、C’ の4つの円柱さしがある。それぞれの円柱の寸法は規則的に段階付けられていて、1つのブロックの特定の穴にはそれに対応する円柱しか入らないようになっている。
      • A:太ささは同じで、高さが10段階に変化する1次元の円柱さし。
      • B:高さは同じで、太さが10段階に変化する2次元の円柱さし。
      • C:高さも太さも10段階に変化する3次元の円柱さし。
      • C ’:太さはCと同様に変化し、高さがCとは逆に10段階に変化する3次元の円柱さし。
  • 直接目的
    • 視覚を通して次元の違いを知る。
  • 間接目的
    • 書くことへの準備 (つまみの持ち方が鉛筆の持ち方につながる)。
    • 算数教育への準備 (数値以前の量の経験。10本の円柱で構成されていることによる十進法へのつながり) 。
  • 提示P (円柱さしBを用いる)
    1. 円柱さしBの持ち方を示して、机上に運ぶ。最も太い円柱が左側に来るように置く。
    2. 左端の円柱から、つまみ方を見せながら、1本ずつ円柱を抜き出し、ブロックの向こう側に順不同に並べる。
    3. 任意の円柱を1本取り、穴と見比べてぴったりの穴に入れる。
      他の円柱についても同様にして、すべての円柱を穴に入れる。
  • 誤りの訂正
    • 円柱と穴の不一致。
    • 穴に入らない円柱が残る。
  • 備考
    • 円柱差しBを使うのは円柱の高さが一定なので、穴 (円形の面) の面積だけに子供の注意力を集中させることができるからである。
    • それぞれの円柱さしで十分活動ができるようになったら、円柱さしの数を2つ、3つ、4つと順次増やしていくことができる。
    • 抜き出した円柱をブロックの向こう側に置くのは、机上での活動を想定しているためである。手前に置くと机から落ちてしまうことがあり、子供の集中を妨げることがあるからである。
    • この基本定時以外に、子供の状態(理解度)に応じて以下のような提示が考えられる。
    • 定時Pの前段階として次のような提示もできる
      1. 円柱さしBを机上にに運ぶ。
      2. 左端の円柱から1本ずつ延長は抜き出し、ブロックの向こう側、穴に対応する位置に置いていく。
      3. 左端の円柱から順に、1本ずつ元の穴に入れる。
    • 提示G(円柱さしCを用いる)
      1. 円柱さしを机上に運ぶ。最も大きい円柱が左側に来るように置く。
      2. 左端の円柱から1本ずつ抜き出し、ブロックの向こう側に順不同に並べる。
      3. ブロックは使わないことを伝え、机の端かサイドテーブルに置く。
      4. 順番に並べていくことを伝え、最も大きい円柱を左端にして、左から右へ順に並べていく。円柱と円柱はぴったりくっつける。
  • 誤りの訂正
    • 順番の間違い。
  • 備考
    • 順序性の活動の時は円柱1本1本の違いがはっきりと際立つ方が子供には理解しやすい。そのために、太さだけでなく高さも漸減(次第に減る事)している3次元の円柱さしであるCを用いる。
    • 提示Gの前段階として、次のような提示もできる
      1. 円柱さしCを選び、左端の円柱から抜き出す。この時ブロックの向こう側に最大の円柱を左端にして順番通りに並べる。円柱同士はぴったりくっつける。
      2. 大きさの順に並んだ10本の円柱の順序性をよく見る。
      3. 10本の円柱は順不同に並べ変える。
      4. 提示Gの(4)をする。
    • 名称練習の用語
      • A:高い 低い
      • B:太い 細い
      • C:大きい 小さい
      • C ‘:低くて太い 高くて細い

ピンクタワー

  • 教具の紹介
    • ピンク色に練られている10個の木製の立体。これを積み上げて一種の塔を作る。10個の立方体の1辺は1cm〜10cmまで1cmずつ長くなっている。したがって、縦、横、高さの3方向が変化する3次元の教具。
  • 直接目的
    • 視覚を通して3次元の変化をとらえる。
  • 関節目的
    • 『算数教育』への準備 (数値以前の量の経験。10個の立方体で構成されていることによる十進法へのつながり)。
  • 提示G
    1. 教具棚のところに行き、順番に積み上げられているピンクタワーをよく見る。
    2. 最初の立方体から始めて、立方体の持ち方を示しながら、立方体を1個ずつ教具棚からラグに運ぶ。
    3. 選んだ立方体は、ラグの教師側上にバラバラに置く。小さい立方体が大きい立方体の陰に隠れないように注意する。
    4. ラグの子ども側上で立方体を積み上げる。最大の立方体を1番下にし、最小の立方体まで順番に積み上げる。上の立方体は下の立方体の真ん中に置く。
    5. 塔が完成したら、子供と一緒に様々な角度から眺め、その順序性を印象づける。
    6. 片付ける際には、最初の立方体から順に取ってばらばらにラグの上に置き、最大の立方体から一個ずつ順に教具棚に運んで積み上げる。
  • 誤りの訂正
    • 順番の間違い。
  • 備考
    • 子供の段階に応じて、差を大きくして順序性を意識しやすくするために、間の1個ずつを間引いて5個の立方体で提示するような工夫をしても良い。
  • 名称練習の用語
    • 大きい 小さい

茶色の階段

  • 教具の紹介
    • 茶色に塗られた10本の木製の角柱。長さはすべて20cmで、その太さが1辺1cm〜10cmまで段階的に変化している。変化するのは角柱の断面の正方形の辺で、縦と横の2方向に変化するので2次元の教具。
  • 直接目的
    • 視覚を通して2次元の変化をとらえる。
  • 関節目的
    • 『算数教育』への準備(数値以前の量の経験。10本の角柱で構成されていることによる十進法へのつながり)。
  • 提示G
    1. 教具棚のところに行き、順番に並べられている茶色の階段をよく見る。
    2. 右端の最も細い角柱から、握り方を見せながら、1本ずつラグに運ぶ。
    3. 運んだ角柱は、ラグの上方に1本ずつ順不同に並べる。正方形の面が子供によく見えるような向きで並べる。
    4. ラグの子供の側で、最も太い角柱が左端に、最も細い角柱が右端になるように、順番に並べる。この際、ラグの縁を利用して角柱の両端が揃うようまっすぐに並べる。角中角柱はぴったりくっつける。
    5. 順番に並び終えたら、子供と一緒に様々な角度から眺め、その順序性を印象づける。
    6. 片付ける際には、最も細い角柱からとって、順不同に並べ直し、最も太い角柱から1本ずつ教具棚に運んで並べる。
  • 誤りの訂正
    • 順番の間違い。
  • 備考
    • 「ピンクタワー」と同様に、子供の段階によっては、あいだを間引いて本数を減らしても良い。
  • 名称練習の用語
    • 太い 細い

長さの棒

  • 教具の紹介
    • 赤色に塗られた10本の木製の細い角柱。長さのみが10cm〜100cmまで10cmずつ段階的に変化している。長さという1方向のみの変化なので1次元の教具。
  • 直接目的
    • 視覚を通して1次元の変化をとらえる。
  • 関節目的
    • 『算数教育』への準備(数値以前の量の経験。10本の角柱で構成されていることによる十進法へのつながり) 。
  • 提示G
    1. 教具棚のところに行き、順番に並べられている長さの棒をよく見る。
    2. 床の上にラグを2枚並べて広げる。
    3. 一番手前の最短の棒から、棒の持ち方を見せながら、1本ずつラグに運ぶ。
    4. 運んだ角柱は、左側(イ)のラグの左端に棒の左端を合わせて、順不同に並べる。
    5. 右側(ロ)のラグで最長棒が1番上、最短棒が1番下になるように、順番に並べる。この際、ラグの縁に棒の左端を合わせて水平に並べる。棒どうしはぴったりくっつける。
    6. 順番に並べ終えたら、子供と一緒に様々な角度から眺め、その順序性を印象づける。
    7. 片付ける際には、最短棒から取って、左側(イ)のラグに順不同に並べ直し、最長棒から1本ずつ教具棚に運んで並べる。
  • 誤りの訂正
    • 順番の間違い。
  • 備考
    • 「ピンクタワー」、「茶色の階段」と同様、子供の段階によっては、間を間引いて本数を減らしても良い。
  • 名称練習の用語
    • 長い 短い

色板

  • 教具の紹介
    • 図のような小さな板で、中央の部分にいろいろな色が塗られている。色の部分に触れないよう、上下の枠を持って扱う。第1箱、第2箱、代3箱の3つのグループがあるが、この段階では第3箱は使わない。
      それに含まれている色は下記の通り。
      • 第1箱:赤、青、黄 3色1対 計6枚
      • 第2箱:赤、青、黄、橙、緑、紫、桃、茶、灰、黒、白 11色1対 計22枚
  • 直接目的
    • 色を識別する。
  • 間接目的
    • 色の美しさに気づく。
  • 提示P
    1. 第1箱
      1. 第1箱を机またはラグに運び、持ち方を見せながら、色板を1枚ずつ取り出してバラバラに置く。
      2. 同じ色を対にして、左上方に並べておく。
      3. 残りの色板も同様にして対を作り、最初の対の下に並べる。
      4. 片付ける際には、対にした色板をいったんバラバラに置き直して同じ色が続くように箱に戻す。
    2. 第2箱
      1. 第1箱による提示に準じて行う。
  • 誤りの訂正
    • 色の不一致
  • 名称練習の用語
    • 第1箱、第2箱、色の名称

色付き円柱

  • 教具の紹介
    • 「円柱さし」の円柱と同じ寸法の木製の円柱。ただし、つまみがなく、色分けされていて、同じ色の蓋を持つ木箱に入っている。各箱10本ずつ、計40本。
      • 箱の名称
        • 青の箱:青 1次元 円柱さしAと同じ
        • 赤の箱:赤 2次元 円柱さしB同じ
        • 黄色の箱:黄色 3次元 円柱さしCと同じ
        • 緑の箱:緑 3次元 円柱さしC ‘と同じ
  • 直接目的
    • 視覚を通して各次元の関係を比較する。
  • 関節目的
    • 算数教育(十進法、グラフ)の準備。
  • 提示G (黄色の箱を用いる)
    1. 黄色の箱を机上に運び、円柱を1本ずつ箱から取り出し、順不同に並べる。
    2. 1番大きい円柱を左側にして、大きさの順に並べる。
      円柱と円柱はぴったりくっつける。
    3. 片付ける際には一度順不同にして、最も大きい円柱から1本ずつ、渦巻き状に箱に入れていく。
  • 備考
    • 他の箱についても同様にする。
    • 垂直方向に積み上げることもできる。
  • 誤りの訂正
    • 順番の間違い。
  • 名称練習の用語
    • 青の箱:高い 低い 
    • 赤の箱:太い 細い
    • 黄色の箱:大きい 小さい
    • 緑の箱:低くて太い 高くて細い
  • 参考 4色の色付き円柱の関係 
    • (図)

コメントを残す